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◇大川市消防本部◇(福岡)

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大川市は、福岡県南西部に広がる穀倉地帯、筑紫平野のほぼ中央にあり、九州一の大河「筑後川」が有明海に注ぐ河口左岸に位置している。
管内面積は、三三・六一km2、人口四万四千人余で温暖な気候と筑後川の豊かな水、肥沃な土壌に恵まれ、古くから農業や漁業を中心として発達してきた。
また、一六世紀中頃から始まったといわれる木工業は、当市の基幹産業として大きく発展し、現在市及び周辺市町には、約一、五〇〇社の木工関連企業があり、日本一の家具の産地(『大川家具』)として全国にその名を知られている。
当市は、街づくりの基本目標を「世界にはばたく高感度インテリアシティ」とし、地方色を活かした個性ある街づくりを展開している。
消防本部は、昭和三八年に発足し、昭和四〇年に消防署が開設され、現在、一本部一署、四五名の職員が三三九名の消防団員とともに地域防災の任に当たっている。
♪当市ならではの火災状況
当市は、基幹産業が木工業であることから、多量の木材、塗料等が使用され、これに起因した火災が多く発生している。
当本部管内の年間火災件数は、毎年約四〇件ほどであるが、このうち、木工産業廃棄物の焼却等に起因する火災が、一〇件以上発生しており、例年、「煙突、焼却炉の火の粉」が出火原因のトップを占めている。また、「研磨粉等の自然発火」が原因の火災も毎年一〜二件発生している。
当本部では、これらを踏まえ、木工関連事業所における火災予防の徹底を図るため、全事業所の焼却炉の構造、管理等について調査し、改善指導を行ったり、焼却炉・塗料製造メーカー等の協力を得て、従業員等を対象とした構造等に係る研修会を開催するなど、出火防止対策に積極的に取り組んでいる。(写真)
♪消防団の活躍
当本部では、消防団の教育・訓練に力を入れている。事業計画を拝見したが、一年間スケジュールが一杯である。特に訓練は、年間七〇回に及んでいる。
これは、過去の大火を教訓に、火災現場における消防団の活動の重要性に鑑み行っているとのことであるが、田島消防長から、団員の「迅速な出場」、「県内でも突出した出場回数」、「現場活動・技術」等々について話を伺い、その活躍ぶりに感心させられたが、これらは、すべて教育・訓練等により培われた賜物であろう。
平均年齢三二歳という着々しい団員は、実に頼もしい存在である。
♪母なる川『筑後川』の恵み
阪神・淡路大量災における教訓を踏まえ、消防水利施設等の整備が図られているところであるが、当本部では、防火水槽、防火用井戸等の整備は無論のこと、管内には多数のクリーク(灌漑用)が走っている。このクリークは筑後川の恵みにより四季を通じて登富な水量を有しており、通常の火災時はもとより、震災時における重要な水利となっている。
♪五分間スピーチ
当本部では、毎週土・日曜日に全職員を対象とした五分間スピーチを順次実施している。これは、消防長が「職員の知識・技術の向上を図ることは勿論のこと、人前で自分の意思をはっきりと伝えることが大切である」との認識に基づき始めたものであるが、当初は戸惑い等があったものの、最近では自分の持ち時間が経過しても止めない強者もおり、笑いと拍手の中で、それぞれが着実に話術を身につけている。消防長は、「これは、職員の幅広い知識等の習得に繋がるとともに、仕事上でも予防査察、各種講習会、防災指導等の機会に大いに役立つものと確信しており、今後も続けていきたい」と語られた。(鈴木浩永)

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